2009年9月4日金曜日

『延安の娘』みました

延安の娘 [DVD]
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マクザム (2008-07-25)
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【一言で言うと】

置き去りにされた文革

  みやすさ ★★ 重いテーマです

  成功度合い ★★★★★ 各種賞をとって いるのもうなずけます。2年間のエネルギーはすべて出ている

  感情揺れ度  ★★★★★ 私たちの知らない中国に迫る

  内容充実度   ★★★★★ ドキュメンタリーですが,見応えがあります

【ストーリ-】

 中国(延安)に1人の何気ない農民の女性がいた。彼女の名前は海霞(ハイシア)という。彼女は、文化大革命時代に下放させられた、男(王露成)と女の間に生まれた。しかし、その時代には、下放した人間が恋愛に走ることを禁止していた。知られればただちに中絶させられた。彼女は生まれた後すぐに、田舎の農村の子供がいないうちにもらわれる。しかしその数年後、その家に実の子供が生まれると、彼女は面倒を見てもらえなくなり家の働き手としてあてにされる日々を送る。
  彼女は是が非でも北京に上京して、父親に会いたいというが、養父母は、「父親がまずここへ会いに来て、養父母と嫁ぎ先と話し合うべき」と言って譲らない。
(労働者が都会に逃げるのを恐れたからであった)しかし、村の長老が出てきて、「行ってこい」と言ってくれたおかげで、北京に行けることになる。
 父親も国営企業の倒産などのリストラなどで、自分も援助を受けなければ生きていけない身であり、世捨て人的な生き方をしている。結局自身では彼女の歓迎の宴やお土産を買う費用を捻出することも出来ず、下放同級生から募金をつのるが、その席でもやはり、この文化大革命に運命を翻弄されたことを憂うのだった。

 この映画にはこの主要なドラマの父と娘だけでなく文革の時代をとりまく様々な人が登場していろいろな角度から文革の時代を眺める。

  まずこの再会に労を投じた黄 玉嶺(ホアン・ユーリン)。王露成と同様下放下仲間だったが、実は彼にも海霞と同じような境遇の子ができていた。彼には<反革命罪>が宣告され、相手の女性は中絶させられた。 「お前は人間じゃない畜生だ」とダムの建設現場で看守から言われことばに傷つき今に至る。

 王雄驥(ワン・ジョンジー)
 村に住み着いた都会のインテリ。収入を確保しようという欲望がなかったために、インテリではあるが、まったく村に溶け込んでいない。仕事もなく貧しい生活を送る。

 王偉(ワン.イ-)
  恋愛問題で下放破壊罪に問われ、15年の刑を言い渡された(登場していない)
 が黄 玉嶺(ホアン・ユーリン)はかつての役人に会いに行く。

 麻雀をうつ村の老紅軍達。1935年の長征で延安にたどり着き、毛沢東の下で抗日戦争、国共内戦を戦った老兵たち。

 
【感想】

 『あの子を探して』という張芸謀の作品より、貧しいことがドキュメンタリーの流れの中で説明されていて(でもナレーションは入っていません)理解できました。(音楽はあの子を探しての中国を代表する三宝(San-Bao)作だそうです)淡々と流れるドキュメンタリーにぴったりです。

 情報統制されている中国ではこのドキュメンタリーが撮られてたことは知られていないそうです。文化大革命時代は時代の一コマと言ってもまだ新しすぎて語りたがらない時代の一端とのことだからです。
 
 親と娘が対面するときのシーンが非常に印象的です。反対されながら強行して田舎から出てきた娘。それをかつて捨てたという後ろめたさがあるが為に何も言い出せない父。ドラマのように台詞はないのですが。気持ちが伝わってきます。
 「苦労したんだろう」と父が小じわの多い娘の顔を見て言います。北京の同年代の若い女性達は化粧し、街の中を我が物顔で生きているからです。同じ国の中にこれだけの格差があることは日本人としては、信じがたいことです。

  監督が語っておられましたが、毛沢東が彼らを下放させたのは都市の文化を農村部にもたらしたいということがあったようなのですが、逆に、農村部の風習や、北京から来た役人達に監視され、その役割を果たせないまま時間を過ごすことになる。

 いろいろな風習に日本が戦後劇的に意識が変わったのは、狭い国の中で都市から改革しようとしたからですね。進駐軍という外国人が来て、様々な文化をもたらして、皆がテレビを持って、その裕福な姿を指をくわえてみながら、もしかしたら自分にもあのような裕福さに手が届くかもしれない。と錯覚させました。それに年長者を無視して邁進したからでしょう。

 延安の娘が、じっと黙って口をつぐんでいる部分で、介在して代弁したくなりました。でもこの問題は、父と娘が再会出来たことで解決するわけではなく代々貧しい親戚しかいない人間は、結局引きずってしまうリスクがあります。

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